Q.会社の破産にはどんなデメリットがありますか

破産に関する誤解

世の中では、破産に対するネガティブな印象が強く、誤解や誤った理解が広まっている面も多いです。
しかし、実際には、破産は国が認めた制度であり、世間で思われているほどのデメリットはなく、実際には利用しやすい制度です。

本記事では、破産についてのデメリットについて、解説をしながら、誤った印象についての正しい説明や、実際に生じうるデメリットなどについて、説明をいたします。

①周囲の人に破産したことを知られてしまうか

たしかに、破産をすると、官報という国の広報誌で破産手続き開始の事実が告知されます。

しかし、官報を閲覧するのは、一部の業者などに限られ、一般の新聞や報道なっで取り上げられることはまずありません。
そのため、一般の人や周囲の人に、破産の事実が知られてしまうことはあまりありませんので、ご心配はなさらなくてもよいかと思われます。

②戸籍などに記録が残ってしまうか

破産をしても、戸籍や住民票に記載がなされることはありません。
そのため、破産をしても、必ずしも、ご家族などに事実が明らかになるわけではなく、ご家族の住民票や戸籍にも影響はありませんので、ご安心ください。

③家族が借金を負ったり、カードを使えなくなるか

破産をすると、破産したご本人の信用情報には記録が残るため、しばらくクレジットカードなどを作ることはできなくなります。
しかし、破産はあくまで、破産される個人にしか影響が生じませんので、連帯保証などをしていない限り、ご家族に債務が生じることもなければ、ご家族名義のクレジットカードが使えなくなることもありませんのでご安心ください。

なお、信用情報自体も、一定の年数ごとに更新がされますので、一度破産をしてしまっても、数年たてば信用情報が更新され、またクレジットカードなどを作ることはできるようになります。

④引越しや海外旅行ができなくなってしまうか

破産は、国が認めた制度ですので、破産をしたとしても、出国制限や引っ越しができなくなることはありません。

なお、破産の手続きを行っている最中については、例外的に、裁判所の仕切りのもとで調査をしている最中ですので、長期間の移動などに関し、裁判所の許可を得る必要が出てきます。しかし、こうした破産手続き自体、申立てから数か月で終わることが多いですので、さほど制限が長期間になることはあまりありません。

そのため、引越しや旅行などが制限されてしまうことは、ほとんど生じませんので、ご安心ください。

⑤年金や生活保護がもらえなくなるか

破産は、債務に苦しんでいる方を助けるための国の制度ですので、こうした制度を利用しても、年金や生活保護などの需給は引き続き可能です。

むしろ、生活保護を受給中の方の場合には、裁判所に納める予納金についても、一時的に立替を受けられる、民事法律扶助という制度もありますので、通常の方よりも一層、破産の制度が利用しやすくなっています。

⑥仕事を続けられなくなってしまうか

破産はあくまで、負債をなくすための制度ですので、原則としてお仕事はこれまで通りに続けることが可能です。
また、破産は個人のプライベートの事情ですので、破産をしたことを理由に、会社を首にされることもありません。

なお、資格が必要な仕事の中には、破産手続き中に限り、一時的に資格が停止になるものもありますので、資格を利用してお仕事をされている方は、破産の手続きを利用するか否かを決める前に、こうした影響がないかをチェックしておくことが重要です。

破産を利用する際の実際のデメリット

・会社が破産する場合:会社がなくなる

会社が破産をすると、会社そのものがなくなることになります。
そのため、会社で行っていた取引が続けられなくなり、また、雇っていた従業員については、解雇をしなければならなくなります。

もっとも、経営が維持できない会社の場合、既に取引の継続は困難になっていることが多く、むしろ、破産をすることで、取引相手としても、貸倒損金などとして処理ができるようになるため、支払ができないまま会社が存続している場合よりも、取引相手の経理手続きに資する部分はあります。

また、会社が破産をする場合、利用条件を満たした従業員については、未払い賃金立替払制度を利用することができます。この制度は、破産した会社に代わって、最大8割まで未払い賃金の支払いを労働者にしてくれる制度です。
労働者への支払いがどうしても難しい場合、こうした制度を利用できるのであれば、むしろ破産を進める方が、労働者へのダメージを減らすことができる場合もあります。

・会社が破産する場合:連帯保証をしている代表などの破産も必要となる

会社が破産をする場合、債権者は、連帯保証人に対し、会社に代わって債務を返済するように求めてくることになります。

会社の借り入れのうち、特に金融機関からの借り入れについては、代表者が連帯保証人となっていることも多いため、会社が破産する際、代表者が負債の肩代わりができない場合には、代表者も併せて破産をする必要が出てくることもあります。

・個人が破産する場合:しばらく借入れができなくなる

破産をすると、信用情報機関に破産の事実が記録されます。
この情報は、消費者金融、クレジットカード会社、銀行などの金融機関が閲覧できるものなので、この情報が残っている間、審査が通らないということが起こります。俗にいう、ブラックリストに載るというのはこの状態を指します。

もっとも、信用情報は、7年ほどで更新されることが多いため、時間が経てば再度、カードを作ったり、融資を受けたりすることはできるようになります。

なお、会社の破産については、あくまで記録が残るのは会社についてであり、代表者の方個人が破産などをされない限りは、個人の信用情報には、原則としては影響は出ません。

まとめ

このように、破産に対しては悪いイメージがありますが、実際には、必ずしも世間で思われているほどのデメリットがあるわけではありません。
手続きについて正しく理解をできれば、実際にどのような手段を選ぶべきなのかも、正しい選択をすることができます。

手続きについてのご質問や、実際の影響などをご相談されたい方は、お気軽に弁護士間でご相談ください。

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